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連載2024.08.20

愛の心で一服㊱(愛の手紙コンクール入賞作品より)

舞ちゃんへ

留守番を舞に任せて買物へ。つい話し込んでしまった。

時計を見てびっくり。すぐに家に飛んで帰った。

家には舞のほか寝たきりの義母がいた。義母の耳は聞こえなかった。目も見えなかった。

そのうえ全く言葉を話せなかった。義母の部屋の戸を静かに開けた。

六歳の舞が七十二歳の義母に粥を匙で掬って食べさせていた。粥には梅の果肉を刻んで混ぜてあった。

義母は舌鼓を打って食べていた。私は義母に謝った。義母の反応はなかった。

そして舞にも謝って礼を述べた。

舞は「謝らなくていい。母さんは遊びに行ったんじゃないから。昼になってお腹が減った。

婆ちゃんも同じと思った。母さんを真似て粥を作った。梅の果肉を混ぜたのは美味いから。私の工夫。

留守番は何時でも任せてね」と言った。

空腹を覚えたとき義母も同じと考えた。

空腹を我慢しつつ義母の食事を作って食べさせた。舞ちゃん、その心を決して忘れないで!

応募時(新潟県35歳)小林美砂子 第13回入賞作品