連載2026.03.23
愛の心で一服 第42回(愛の手紙コンクール入賞作品より)
待っていてください
妹へ
僕たちは両親の離婚で生き別れ、別々の人生を歩みました。僕が四歳で君は一歳でした。
それから四十五年後の再会は、思いの外、自然に笑みが零れて言葉を交わせたね。
あの日、一緒に浅草寺をお参りした後、僕はこう言って君にネックレスを贈りました。
「兄として一度だけの誕生日プレゼントを、受け取ってくれないか?」と。
君は「私、明日から一週間これを着けて自慢して歩くからね!」と泣きながら言いました。
僕はあの時の君の顔を忘れません。
それから十二年後、君は星になりました。
些細なことから喧嘩して仲直りしないまま去った君に、僕は謝ることも怒ることも出来ません。
兄として、順番を守らない君を叱るから、もう少しだけ天国で待っていてくれないか?
今度は四十五年も待たせないからね。
兄より
(応募時 東京都 六十代 峯田 泰彦)
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