連載2025.02.03
愛の心で一服 特別編(剣幸 歌と朗読のミニライブより)
今回は特別編
「笑ってよ天使」をご紹介します。
この作品、2月1日に開催された 「愛の手紙を謳う」歌と朗読のミニライブ
剣さんはライフワークとして取り組んでいる「恋文コンサート」で取りあげる
手紙をたくさんの本の中から探されるとのことでした。
その縁で、愛の手紙の書籍も手にして頂き、ミニライブが実現しました。
連載「愛の心で一服」も数を重ね、多くの作品をご紹介してきましたが
当日のプログラムが決まり、5編の朗読作品の中で唯一すぐに探しだすことが出来ませんでした。
この作品は2002年発行 心に残る95通の愛の手紙 第3集に収録されています。
20年以上前に発行された第3集は、事務局にも見本しかありません。
前置きが長くなりましたが、
「笑ってよ天使」
数年前ドイツを旅行中、市民憩いの広場で両親とベンチで休んでいた二人の子供と目が合った。
淋しい目である。私と写真を撮ろうと中央に誘い写した。
その時、「私もいい?」とでも言いたげな十二、三歳ぐらいの女の子と四人で、次は両親と写した。
いろいろと話を聞きたかったが、バスの時間もあり、住所を書いてもらいその時は別れた。
でも、少女の悲しげな目が頭から消えない。
帰国して、五歳と七歳ぐらいと思われるあの子供たちにTシャツを、母と姉にはハンカチを、写真と英語の手紙と一緒に送った。
長い間かかって届いたのであろう。しばらくして、返事が来た。
「実は、私たちはユーゴスラビアの難民で、ドイツに逃げてきて、今は仕事もなく途方のくれています」と。
Tシャツを着たかわいい二人の子供の写真が二枚入っていた。
難民キャンプでの不自由な生活、誰かに読んでもらい書いてもらいしたのでしょう。
アルバニア・セルビア・ユーゴスラビアは、何語でしょうか。
読み書きしてくれた人の愛をそこに感じました。
今あの子供たちは戦火の祖国に帰ったのか、学校に行っているのか、食糧はあるのか、今もどこかに助けを求めているのか。
穏やかな生活は訪れるのでしょうか。
うまく言えないが、どこの国にも、一日も早く戦争のない平和が訪れますように願わずにはいられません。
どうぞ、家族一緒に暮らせますように、私はただ祈ることくらいしか出来ません。笑ってよ、あの子供たち。
応募時 静岡県62歳 福島静子