連載2024.05.22
愛の心で一服㉜(愛の手紙コンクール入賞作品より)
はいけい、千空(ちひろ)
今、小学校のチャイムが鳴ったよ。
早く席についてね。教科書、出してね。
きょうは、さいきんお母さんがびっくりしたことを書きます。少しはずかしいけど。
一週間ぐらい前に、お母さん、かぜをひきました。そのとき、千空、こう言ったよね。
「お病気のときは好きなものいっぱい食べて、ゆっくりねむってね。」
本当におどろいた。
この間までお仕事していたお母さんは、千空に、そんなこと言ってあげなかった。
千空が病気になったら、会社を休まなきゃいけない。そんなことばかり考えて、きっといやな顔してた。
そのあと、「じゃあ、ねむるね。」って、ふとんをかぶったお母さんの顔、千空に見られなくて本当によかった。
それとね、千空を「きらい!」っていうときのお母さんは、大うそつきだからね。
けいぐ
応募時(福島県45歳)榊枝初子